日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
墜落外傷でみられた特発性気腹症の1例
橘高 弘忠加藤 雅也喜多村 泰博秋元 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 5 号 p. 1347-1350

詳細
抄録

墜落外傷でみられた特発性気腹症の1例を経験したので報告する.症例は35歳,女性.高所からの墜落により受傷し,当センターへ搬入となった.搬入時軽度の意識障害を認めたが,呼吸・循環は安定していた.腹部造影CTの結果,骨盤骨折による後腹膜出血および肝表面・肝下面に腹腔内遊離ガスを認めた.腹部理学的所見上腹膜刺激症状はなかったが,消化管穿孔を疑い,後腹膜出血に対する経カテーテル動脈塞栓術の後,緊急開腹術を施行した.しかし,後腹膜血腫を認めるのみで消化管損傷は認めなかったため,特発性気腹症と診断した.
本症例において腹腔内遊離ガスが生じた原因としては,墜落時に経膣経卵管的経路で腹腔内にガスが迷入した,あるいは着地時の瞬間的胸腔内圧上昇により経縦隔的経路でガスが腹腔内に入ったことが推測された.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top