日本臨床外科学会雑誌
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平成21年度学会賞受賞記念講演
消化管器械吻合の歩みと共に
中山 隆市
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2010 年 71 巻 6 号 p. 1393-1412

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抄録

消化管縫合・吻合法は12世紀末,原始的な蟻顎,木,鳥,動物の乾燥気管等による内腔splint,手縫いGlover法が試みられたが,19世紀半ば迄外科医達の格言は“Noli me tangere”触れてはならないであった.1881年Billrothの胃切除初成功後,1894年時世界の胃切除集計257例の手術死亡率は54.4%で主たる原因は縫合不全であった.20世紀初頭,1908年HültlのB型staplerの発表にて,器械吻合はその緒についたが食道の環状吻合は1958年峰式吻合器をもって嚆矢とする.1971年発売のソ連PKS-25吻合器にて筆者は'72,'74年腸及び胃全摘後の食道再建初例成功を報告したが,併行して'72年内腔打抜き円筒刃をディスポ化した弯曲型吻合器を作製し現在の吻合器に連った.ソ連特許買収後,'79年米EEA吻合器は本邦発売となり'90年以降,鏡下手術の普及に伴い器械吻合は必須手技となったが,未だ手縫法は重要であり保険医療の枠内での屈曲可能stapler吸収性staple等の開発・進歩に期待したい.

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