日本臨床外科学会雑誌
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症例
高度な骨破壊と神経症状を呈したL-1腰神経根由来の嚢胞を伴う巨大な神経鞘腫の1例
神原 淳神原 浩日野 浩司金田 象顯原田 良昭荒木 京二郎
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2010 年 71 巻 6 号 p. 1654-1658

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抄録

脊椎骨,椎弓破壊,嚢胞を伴って後腹膜方向に大きく発育進展した巨大なL-1神経根原発の神経鞘腫の手術治療例を報告する.
症例は55歳,男性で,1年ほどの間に次第に進行する背部痛,右下半身の知覚鈍麻,痛覚鈍麻,跛行があった.単純レントゲン,CT,MRI,血管造影で第1腰椎神経根原発で,椎体椎弓根を侵蝕し,右後腹膜腔に大きな嚢胞を伴って発育した径22cm大の砂時計型腫瘤であった.腫瘤の後腹膜部分は肝臓を頭側に,腎臓を足方に,下大静脈を左方に強く圧排していた.
脊椎側と腹腔側アプローチの二期的な手術で,全摘出が可能であった.
組織はシート状,束状に増殖する紡錘形の細胞で,ビメンチン(+),アクチン(+),α1-ACT(+),S100蛋白(+),c-kit(-),MIB-1陽性細胞は7%で,良性神経鞘腫と診断された.Antoni A型とAntoni B型が混在し,大きな嚢胞を形成していた.運動障害などの症状は腫瘍摘出後,速やかに消失した.

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© 2010 日本臨床外科学会
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