2010 年 71 巻 7 号 p. 1732-1735
症例は40歳,男性.急性大動脈解離の加療目的に他院より救急搬送された.入院後,上腹部痛と腹膜刺激症状を認めた.腹部造影CT検査で肝・脾周囲に高濃度の液体貯留を認め腹腔内出血が疑われた.また,肝動脈に動脈瘤を認めた.血液検査所見上貧血がなく,血圧低下も認めないため保存的治療を行った.翌日ショック状態を呈したが,カテーテル操作では大動脈解離の恐れがあるため,緊急手術を施行した.手術所見で左肝動脈瘤の破裂と診断し,動脈瘤切除および左肝動脈結紮術を施行した.術後軽度の肝機能障害を認めたが軽快退院した.大動脈解離は血栓閉塞型であり増悪傾向なく経過観察とした.