2010 年 71 巻 7 号 p. 1768-1773
症例は64歳,男性.平成11年10月に胸部食道癌(Mt)に対して食道亜全摘,胃管による胸骨後再建,頸部吻合を施行された.術後経過観察中,平成17年4月に貧血を認め精査した結果,内視鏡検査にて挙上胃管に3型進行胃癌を認めたため,平成17年7月に胸骨縦切開胃管切除,回結腸による胸壁前再建,supercharge法を施行した.病理組織学的に高分化型腺癌で,int,INFβ,ly0,v0,mp,pN0,H0,P0,M0,StageIBであった.食道癌術後10年3カ月,胃管癌術後4年6カ月経過した現在,無再発生存中である.自験例を含め2009年12月までに報告された本邦における食道癌術後再建胃管癌118例を集計しその臨床像について検討した.食道癌の治療成績が向上し長期生存例も増加している現在,胃管癌を念頭においた術後定期的な内視鏡検査を積極的に導入する必要があると考えられる.