日本臨床外科学会雑誌
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症例
早期胆嚢管癌の1例
赤須 玄石川 博人川原 隆一御鍵 和弘吉富 宗宏木下 壽文
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キーワード: 胆嚢管癌, 胆嚢癌
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1842-1845

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抄録

症例は72歳,男性.発熱・腹痛を主訴に近医を受診し,閉塞性胆管炎の診断にて,緊急で内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)が施行された.総胆管に結石像や狭窄所見はみられなかったが,胆嚢管が描出されなかったため精査加療目的で当院紹介となった.腹部multi-detector row CT(MDCT)では胆嚢管内にのみ淡い造影効果を伴う腫瘍性病変を認め,胆嚢内に結石像や腫瘍性病変は認めなかった.内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)では三管合流部に陰影欠損を認め,同部からの擦過細胞診でadenocarcinomaと診断された.胆管内超音波検査(IDUS)では胆嚢管を充満するような腫瘍性病変を認め一部総胆管内への突出がみられたが,胆管への進展は認めず,胆嚢管癌の術前診断で胆嚢摘出・肝外胆管切除・リンパ節郭清(D2)を施行した.病理診断はPapillary adenocarcinoma. depth;fm patCGmBm, INFβ,ly0,v0,pn0,pHinf0,pBinf0,pPV0,pA0,pN0,pHM0,pBM0,EM0と早期胆嚢管癌であった.術後17カ月経過し無再発生存中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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