日本臨床外科学会雑誌
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症例
化膿性心膜炎より急速に収縮性心膜炎をきたした1例
村岡 新恵木 康壮針谷 明房高澤 賢次三澤 吉雄
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2010 年 71 巻 8 号 p. 1976-1979

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抄録

症例は69歳,男性.発熱,胸痛を主訴に来院.胸部単純X線で肺炎と診断され緊急入院.喀痰,血液培養からStreptococcus pneumoniaeが検出された.入院時心臓超音波検査で少量の心嚢水を認めていたが,2日後に心嚢水が増加しており,心嚢ドレナージを行った.心嚢水は膿性で感染を疑われたが培養は陰性であった.入院8日目ごろより右心不全症状出現.心臓超音波検査で収縮性心膜炎と診断され,利尿剤の増量行うも改善傾向見られず,入院24日目に心膜剥離術および切除術を行った.心嚢内および胸腔内より膿性の浸出液を認めたため,ドレーンを心嚢内,両側胸腔内に合計6本留置し一期的に創を閉鎖し,術後生理食塩水による持続洗浄を5日間行った.術後経過は良好で34病日に退院となった.術後の閉鎖的持続洗浄は感染再燃の予防として有効な手段であると思われた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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