日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発不明肺門縦隔リンパ節癌加療後に新たに出現したと考えられた肺癌の1切除例
西川 敏雄二宮 卓之藤原 俊哉片岡 和彦松浦 求樹
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2000-2004

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抄録

症例は66歳,男性.2002年11月呼吸困難,動悸にて近医を受診,精査にて胸水および心嚢水を指摘された.画像上右肺門部に腫瘤影と縦隔,頸部,鎖骨上リンパ節の腫大を認め,右肺尖部には炎症後と考えられる結節影を認めた.他臓器には異常を認めなかった.胸水および心嚢水の細胞診にて腺癌との診断であり,stageIIIBの肺癌と診断した.CBDCA+paclitaxelによる化学療法を4コース施行し,PRとなったため以後経過観察されていた.2009年5月右肺尖部に新たな結節影を認めた.肺門部の陰影に変化は認めなかった.PETでは肺尖部の新たな結節影にはFDGの集積を認めたが,肺門部,リンパ節および他臓器には集積を認めなかった.肺癌再発との術前診断にて手術を施行し腺癌との診断であった.本症例は,初回化学療法を施行した病変が原発不明肺門縦隔リンパ節癌でありその治癒後に新たに肺癌が発生したものと考えられた.

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