日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発肝転移・腸間膜リンパ転移・腹膜播種を伴った回腸カルチノイドの長期生存の1例
廣瀬 淳史伏田 幸夫木下 淳尾山 勝信藤村 隆太田 哲生
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2033-2037

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抄録

症例は71歳,男性.2001年に原発不明肝腫瘍にて肝外側区域切除施行,病理組織学的診断にてカルチノイドの診断となった.以降2005年3月までに肝転移再発で2回transcatheter hepatic arterial embolization(以下TAE)を施行.2005年3月に回腸末端腸間膜リンパ節の腫大を認め手術施行.腫大リンパ節近傍の小腸に腫瘍を認め切除.病理組織学的検査にてカルチノイドの診断となり,また免疫染色検査で肝臓と同様の所見を呈し小腸原発と判断.以降肝転移巣に対し2008年3月までに4回のTAEを施行.
2008年3月に腸閉塞を発症,CTでカルチノイド腹膜播種再発に伴う腸閉塞の診断にてバイパス術を施行.術後外泊可能なまでに回復したが2008年5月に永眠された.小腸カルチノイドはまれな疾患であり,集学的治療にて6年半の長期生存を果たした例はごくわずかである.若干の考察を交え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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