71 巻 (2010) 8 号 p. 2043-2046
何らかの症状をきたし外科的切除される悪性黒色腫小腸転移例は稀である.今回われわれは穿孔性腹膜炎をきたし,手術を施行した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は59歳,男性.2年前に頭部皮膚悪性黒色腫の切除歴があり,多発リンパ節,肺,肝,小腸転移をきたしていた.免疫療法のため当科へ入院中,突如腹痛が出現し,腹部単純レントゲン写真上腹腔内遊離ガス像を認め,腹部CTスキャンにおいて小腸転移の穿孔と診断,緊急手術を行った.開腹すると約8cm大の穿孔した単発の腫瘤を認め,小腸部分切除を行った.術後経過は良好であったが,肺転移の急速な増悪のため術後2カ月に永眠された.悪性黒色腫転移例の予後は極めて不良である.予後が望めなくとも救命のために外科的手術を行わねばならない場合がある.化学療法,免疫療法を含めた集学的治療の発展,展開が望まれる.