日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹部CTにて診断した気腫性胆嚢炎の1例
和泉 秀樹早津 成夫吉竹 公子石塚 裕人原 彰男牛島 康榮
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2124-2128

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抄録

64歳,男性.上腹部痛を主訴に来院した.WBC 11,390/μl,CRP 5.85mg/dlであり,腹部CT検査にて胆嚢の軽度腫大および胆嚢壁の軽度肥厚を認めた.胆石は認めず,気腫性変化も認めなかった.急性胆嚢炎と診断し,保存的治療を開始した.翌日になり症状増悪したため,再度腹部CT検査を施行したところ,胆嚢周囲および胆嚢内に気腫性変化を認めた.気腫性胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を試みたが,癒着が強固であり,開腹移行となった.第13病日に退院となった.
気腫性胆嚢炎は,壊死・穿孔の確率が高く重症化しやすい疾患であり,早急に治療を開始する必要がある.しかし,ガス産生するまで24時間以上要するため,発症直後には診断が困難な場合がある.症状増悪時には本症を念頭に置いた再検査が重要であると思われた.また,積極的に腹腔鏡下手術を行い,癒着が強固な場合は,躊躇なく開腹手術に移行すべきと思われた.

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