日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢原発小細胞癌の1例
佐々木 貴浩小林 慎二郎小泉 哲朝倉 武士中野 浩大坪 毅人小池 淳樹土居 正知
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キーワード: 胆嚢癌, 小細胞癌
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2129-2133

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抄録

胆嚢癌の組織型は腺癌が主であり,小細胞癌の報告は稀である.今回,われわれは胆嚢原発小細胞癌の1例を経験したので報告する.患者は66歳,男性.腹痛で他院受診,当初は胆嚢炎と診断され胆嚢ドレナージを施行された.しかし,その後胆嚢癌が疑われたため,当院に紹介受診となった.来院時血液検査では炎症反応は認めず,CA125が40.2U/mlと上昇していた.CTで胆嚢底部に45×39mmの充実性腫瘍を認め,一部漿膜側に突出していたが周囲リンパ節の腫大は認めなかった.多臓器転移も認めなかったので手術を施行した.腹腔鏡で明らかな腹膜播種のないことを確認した後,開腹した.腫瘍の明らかな漿膜面への露出はなく,周囲リンパ節腫大も認めなかった.胆嚢床切除術を施行した.病理診断はSmall cell carcinoma,SS,INFβ,ly1,v1,pn0,pHinf0,pBM0,pEM0であった.経過は良好で術後2年6カ月現在も外来通院中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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