日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭部癌と上行結腸癌の同時性重複癌と診断した1例
高橋 和裕黒木 則光文園 豊寺岡 恵
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キーワード: 膵癌, 上行結腸癌, 重複癌
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2173-2178

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抄録

膵頭部癌,上行結腸癌の同時性重複癌に対し,一期的に両病変とも切除できたので報告する.症例は66歳女性.腹痛,嘔吐を主訴に緊急入院した.大腸内視鏡にて上行結腸に2型の腫瘤を認め,生検にて中分化型腺癌と診断された.上部消化管内視鏡にて十二指腸に壁外性腫瘍浸潤を疑う病変あり.生検から中分化型腺癌を認めた.腹部CTでは上行結腸および膵頭部に非連続性の腫瘤病変をそれぞれ認めた.ERCPでは総胆管に圧排像を認めるも総胆管や主膵管に明らかな狭窄病変は認めなかった.CEA 42.8ng/ml,CA19-9 670U/ml,Span-1 132.5U/mlと上昇を認めた.上行結腸癌,膵頭部癌の診断にて,結腸右半切除術,膵頭十二指腸切除術を施行した.両病変にはCK7に対する免疫組織染色性に差を認め,上行結腸癌,膵頭部癌の同時性重複癌であると診断した.

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© 2010 日本臨床外科学会
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