日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
右腋窩の類上皮型悪性末梢神経鞘腫の1例
池辺 孝西岡 孝芳堀池 正樹寺倉 政伸
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 9 号 p. 2270-2273

詳細
抄録

症例は82歳,女性.右腋窩の腫瘤を主訴に当科を初診された.右腋窩に表面不整,易出血性,手拳大の腫瘤を認めた.CTで右腋窩に直径20mmのリンパ節腫大あり.肝臓,肺に転移を思わせる所見なし.以上より右腋窩リンパ節への転移を伴う悪性腫瘍と診断した.腋窩リンパ節転移巣を含めて腫瘍を切除した.病理組織学的所見では円形の核をもつ上皮様の腫瘍細胞が索状およびシート状の配列を示していた.腫瘍細胞は免疫染色でS-100蛋白に強く陽性を示しかつ,メラノソームを認めなかったことから類上皮型悪性末梢神経鞘腫と診断された.高齢であること,対側肢に脳梗塞後遺症による麻痺があることなどから追加切除は行わなかった.術後約9カ月目に局所の皮下に再発をきたしたため再切除を行った.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top