日本臨床外科学会雑誌
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症例
FDG-PETで集積を認めた肋骨原発海綿状血管腫の1例
宮内 善広松原 寛知奥脇 英人國光 多望鈴木 章司松本 雅彦
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2279-2282

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抄録

75歳,男性.検診の胸部レントゲンで異常陰影を指摘され,精査にて右第3肋骨を主座とした最大径7cmの肋骨腫瘍と診断され当科紹介受診となった.画像上,軟骨肉腫や血管腫などが疑われ,FDG-PETで集積を認めたため,悪性の肋骨腫瘍を疑い切除を施行した.手術は後側方切開で行い,腫瘍および第3/4肋骨後方を含めて胸壁切除を施行した.病理診断は海綿状血管腫で,悪性所見は認められなかった.原発性骨腫瘍のうち約3割は悪性腫瘍であり,骨血管腫は約0.7%と比較的少なく,さらに肋骨原発の海綿状血管腫の報告はまれである.本症例では悪性所見の有無を確認するためFDG-PETを施行し集積を認めたが,結果的に良性腫瘍との診断を得た.海綿状血管腫では内部に出血と炎症を繰り返すとされ,そのために集積を認めたと考えられた.画像的に悪性疾患,特に肉腫が否定できない場合,術前の生検には慎重にならざるを得ない場合がある.

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© 2010 日本臨床外科学会
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