日本臨床外科学会雑誌
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症例
Segmental arterial mediolysisが成因と考えられた中結腸動脈瘤破裂の1例
山田 誠人板倉 裕子横田 憲一和田 直文横山 成邦遠藤 渉
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2287-2290

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抄録

症例は56歳,女性.腹痛にて近医を受診,診察中に一過性の意識消失を伴うショック状態となり,CTにて膵前面の占拠性病変と腹水を認めたため,急性腹症として当院へ救急搬送された.貧血と血性腹水を認め,腫瘍や内臓動脈瘤などからの出血が疑われたが,全身状態が安定しており経過観察とした.翌日貧血が進行したため,血管造影検査を施行し,中結腸動脈瘤破裂と診断,手術を行った.横行結腸間膜内の血腫と,中結腸動脈の左右の分岐部中枢側に2×1cm大の動脈瘤を認め,テストクランプによって腸管の血流が保たれることを確認し,腸管を切除せずに血管を結紮し瘤を摘除した.病理組織学的にはsegmental arterial mediolysis(SAM)の所見を認めた.術後の検索では,他に内臓動脈瘤は認めず,術後2年3カ月となるが,新たな動脈瘤の形成なく,経過観察中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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