71 巻 (2010) 9 号 p. 2394-2397
内臓癌の皮膚転移は比較的稀であり,また大腸癌が皮膚転移をきたすことも多くはない.われわれは経過中に多発皮膚・皮下転移を認めた大腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は44歳,男性.上行結腸癌,肝転移,腹膜播種術後の多発皮膚・皮下転移に対して症状緩和目的に2回にわたり計4カ所の皮膚・皮下腫瘤切除を実施した.内臓癌の皮膚転移は病勢の進行した状態であり,全身転移の一症状として捉えられる.その予後は不良であるが,なかには長期生存例の報告もある.予後は不良ではあるが,患者のQOLを考慮し,漫然と放置するのではなく,症状緩和のためにも積極的な切除が望まれる.外科的切除による局所制御と化学療法による全身治療により予後の改善を期待したい.