2010 年 71 巻 9 号 p. 2406-2410
症例は85歳,男性.2004年に下行結腸癌,2005年に横行結腸癌の手術を他院で施行された.2006年11月直腸癌に対し低位前方切除術を当院にて施行,外来通院中の2007年6月,腹部CT検査で外側区域に不均一に造影される腫瘍と胆管の拡張を認め,胆管細胞癌が疑われた.同年11月,門脈臍部近傍までの胆管浸潤を認め,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査では中分化型腺癌が胆管上皮に沿って増生していた.免疫組織化学検査ではCytokeratin(以下,CKと略記)7陰性,CK20陽性で2006年摘出した横行結腸癌と組織像が類似し,その転移と診断した.画像診断が可能な胆管浸潤を伴う大腸癌肝転移は稀で,本邦では11例の報告を認めるに過ぎない.