2010 年 71 巻 9 号 p. 2453-2458
症例は胃切除の既往のある73歳,男性.左上腹部痛出現.腹部超音波検査にて左上腹部腫瘤を指摘された.腹部MD(multidetector)CT検査にて空腸部に20mm長のhigh denseな線状陰影を伴う7.5cmの腫瘤形成を認め,魚骨による腹腔内膿瘍,穿通性腹膜炎と診断し入院となった.
Free airや腹水貯留を認めない限局性病変であり,全身状態良好で患者の希望もあり,絶飲食と抗生剤による保存的治療を行った.腹痛は徐々に軽減し,follow up CTにて魚骨は残存するものの膿瘍は縮小し,経口摂取開始後も無症状で経過し,退院となる.そのまま保存的に経過観察したが,8カ月後には膿瘍は消失し,魚骨も6mmに短縮した.