日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹部超音波検査が術前診断に有用であったMeckel憩室穿孔性腹膜炎の1例
橋本 敏章永吉 茂樹向井 憲重古井 純一郎
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2011 年 72 巻 1 号 p. 186-189

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抄録

症例は7歳,男児.グリセリン浣腸施行後,右下腹部痛を主訴に当院受診となった.腹部単純X線写真および腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像を認めた.腹部超音波検査にて虫垂の腫大は認めなかったが,臍右下側の最大圧痛点に一致した部位に短冊状の構造が同定されMeckel憩室の存在が疑われた.汎発性腹膜炎の術前診断にて緊急手術を行った.血性腹水を認めたが,虫垂は正常であった.回腸を検索すると回腸末端から約50cm口側に拇指頭大の憩室を認め,基部に2mm大の穿孔を生じていた.手術は回腸部分切除術を施行した.肉眼所見では憩室内壁は襞状を呈しており,これが腹部超音波検査にて短冊状の構造として描出されたものと思われた.病理学的には異所性胃粘膜を有するMeckel憩室であった.本症に特有の所見はなく術前診断は困難であるが,腹部超音波検査が診断の一助となる場合もあり積極的に行うべき検査と思われた.

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