2011 年 72 巻 1 号 p. 22-26
症例は57歳,女性.右乳房の硬い腫瘤を主訴に当科を受診,線維腺腫の診断で腫瘤摘除術を施行した.病理組織学的検査で間質に好酸性物質の沈着を認め,ダイロン染色で赤橙色に染まり,乳腺アミロイド腫瘍と診断した.術後14カ月目に右乳房に前回と同様の腫瘤が出現した.臨床的にアミロイド腫瘍の局所再発を疑い,腫瘍摘除術を施行した.病理組織像は前回の切除標本と同様アミロイド腫瘍であった.乳腺に発生するアミロイド腫瘍はきわめてまれであり,現在まで20例の報告を認めるのみである.