2011 年 72 巻 1 号 p. 43-48
症例は76歳,男性.左肺S3を原発とする腫瘍を認め,癌性胸水,多発肺・肝・骨転移を伴っていた.胸水細胞診にてclassV(adenocarcinoma)の診断,cT4N2M1 stageIVであり,PS 3と不良であった.EGFR遺伝子変異陽性であったことから,インフォームドコンセントのうえゲフィチニブ投与を行った.投与9日目左肺虚脱を認めたが,腫瘍原発巣は縮小し,肺内転移巣も縮小を認めPRであった.気胸に対して保存的治療を行うも改善しないため,外科治療を行った.文献上,ゲフィチニブ投与中に発生した気胸に対する手術症例の報告はなく,病理組織学的に評価しえた貴重な症例と思われたため報告する.