日本臨床外科学会雑誌
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症例
大胸筋皮弁で修復した食道癌救済手術後遅発性縫合不全の1例
細川 勇一大幸 宏幸
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2011 年 72 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

大胸筋皮弁で修復した食道癌救済手術後遅発性縫合不全の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,2004年に胸部食道癌に対する根治的化学放射線療法後の遺残に対し,右開胸開腹食道亜全摘出術施行.その後,2007年に吻合部狭窄に対し2度の内視鏡的バルーン拡張術を施行した.術後4年目の2008年,突然の発熱および左前胸部発赤を認め入院となった.精査にて腐食性骨髄炎を伴う食道胃管吻合部縫合不全と診断し,保存的に治療を行った.しかし改善傾向が認められないため,食道胃管吻合部縫合不全に対して大胸筋皮弁による修復術を施行した.術後,軽度の縫合不全を認めたが保存的に軽快し,術後43日目に退院となった.現在,嚥下時通過障害を認めず,良好なQOLが得られている.

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