2011 年 72 巻 10 号 p. 2520-2523
症例は84歳,男性.睡眠中に義歯を誤嚥し,胸部エックス線検査にて左主気管支内の義歯を指摘され,摘出目的にて当院へ紹介となった.気管支鏡下に左主気管支からB6へと至る義歯を確認できたが,気管支壁に食い込んでおり摘出不可能であったため開胸手術にて摘出した.手術は左腋窩開胸にて行い,左主気管支の長軸方向に気管軟骨輪を約2cm切開し義歯を摘出した.切開部は4-0 PDS-IIで連続縫合した後に心膜周囲脂肪織にて被覆した.術後気管支瘻を認めず術後15日目に軽快退院となった.術後52日目に気管支鏡検査を行い,左主気管支が狭窄をきたしていないことと縫合部の治癒が良好であることを確認した.気管支鏡下に摘出が困難であったため開胸手術を要した1例を経験したので報告する.