日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前inflammatory fibroid polypとの鑑別に苦慮した横行結腸脂肪腫の1例
福留 惟行駄場中 研岡本 健岡林 雄大小林 道也花崎 和弘
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キーワード: IFP, 大腸脂肪腫, 腹部CT検査
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2578-2582

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抄録

大腸内視鏡検査で,inflammatory fibroid polyp(以下,IFP)様の所見を呈し,腹部CT検査で脂肪腫が疑われ,術前診断でIFPとの鑑別に苦慮した横行結腸脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は76歳,女性.下腹部痛・軟便を主訴に受診.大腸内視鏡検査で横行結腸に頂部表面に,びらん・潰瘍を伴う陰茎亀頭様ポリープを認めた.生検の結果は,granulation tissueで確定診断には至らなかったがIFPが疑われた.腹部CT検査で,横行結腸に低吸収域腫瘤を先進部とする腸重積を認め脂肪腫が疑われた.術後病理検査にて横行結腸脂肪腫と診断した.腸重積を繰り返す脂肪腫では,表面粘膜の循環障害,脱落などにより,内視鏡所見で典型像と異なる変化をきたすことは稀ではなく,診断に際して注意が必要である.本症例のような消化管脂肪腫,IFP,上皮性腫瘍の鑑別にはCT検査が有用であることを再確認した1例であった.

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© 2011 日本臨床外科学会
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