2011 年 72 巻 10 号 p. 2600-2603
症例は,53歳,男性.胆嚢腺筋症を当院で経過観察中,腹部MDCTで中下部胆管断端に壁肥厚を認め,外科紹介となった.内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)では長径8mmほどの軽度狭窄性病変を認め,胆汁細胞診を行ったがClassIIIであった.確定診断を得るため,経口胆道鏡(POCS)を行い軽度発赤した半周性の広基性病変を確認した後,生検を行い胆管癌と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的検査では高分化型乳頭腺癌であり,壁深達度はfmで,リンパ節転移は認めなかった.総合進行度はfStageIであった.MDCTにより冠状断像の画質が飛躍的に向上した現在,水平断像では認識が難しい胆管の隆起性病変は,冠状断像の注意深い読影によりで胆管割面の壁肥厚として診断することができた.