日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に診断治療した腹膜刺激症状を有する腸管嚢腫様気腫症の1例
伊藤 嘉智福永 正氣菅野 雅彦吉川 征一郎平崎 憲範鷲尾 真理愛
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2667-2671

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抄録

症例は78歳,女性.Sjögren症候群でステロイド治療を受けていたが,腹痛および腹部膨満感を主訴に来院した.腹部は全体に圧痛と反跳痛を認め,CTで遊離ガスと腸管漿膜下に気腫を認めた.腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis,以下PCI)と診断したが腹膜刺激症状を重視し,穿孔性腹膜炎を鑑別すべく診断的腹腔鏡を行ったところ空腸の壁肥厚と気腫性変化を認め,同部位での穿孔が否定できず小腸部分切除を行った.PCIでの手術報告例は散見されるが腹膜刺激症状を伴う例は報告が少なく,中でも壊死性腸炎や消化管穿孔などの随伴所見を伴わない例はまれである.保存的治療で改善することが多い疾患であるため,試験開腹が必要な症例で腹腔鏡下手術を選択すれば患者に対し診断および治療を低侵襲に行うことができる.

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© 2011 日本臨床外科学会
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