日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜原発多発性神経節神経腫の1例
川井田 博充松田 政徳細村 直弘雨宮 秀武河野 寛市川 智章山根 徹藤井 秀樹
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2703-2707

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抄録

患者は47歳,女性.右上腹部痛の精査目的で施行した腹部超音波検査で右上腹部腫瘤を指摘された.CTでは17×13cm大の肝臓および腎臓を圧排する境界明瞭な乏血性腫瘤を認め,左縁は腹部大動脈に接していた.また,その尾側に6×4cm大の同様のCT像を示す腫瘤を認めた.2つの腫瘤はMRIのT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示した.神経節神経腫を疑い,経過観察の後手術となった.手術所見では,主腫瘍は周囲組織と線維性の癒着を認め,腹腔動脈起始部右側での癒着は強固であった.また,隣接する腫瘍も腹部大動脈右側への強い癒着を認めた.病理組織的には両腫瘍とも紡錘形の神経腫細胞の中に神経節細胞が散在しており,神経節神経腫と診断された.

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© 2011 日本臨床外科学会
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