日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に摘出した後腹膜paragangliomaの1例
大内 昌和福永 正氣津村 秀憲李 慶文菅野 雅彦永仮 邦彦
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キーワード: paraganglioma, 腹腔鏡手術
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2708-2712

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抄録

症例は25歳,女性.腫瘤触知にて当科受診.画像診断で腹部正中総腸骨動脈分岐部直下に約5cm大の下腹部腫瘤が判明.腹腔鏡下摘出術を施行.術中高血圧のほか術中術後合併症認めず,第8病日退院となった.病理組織学的検査ではparagangliomaと診断された.
副腎褐色細胞腫の腹腔鏡下手術は普及しているが,後腹膜paragangliomaの腹腔鏡下手術はその発生頻度が少ないことに加え,悪性度や解剖学的特徴,またカテコラミン放出に対する懸念から一般的であるとはいえない.腹腔鏡下手術のポイントとしては1)多発性発生が多いので十分な腹腔内観察を行うこと2)慎重な操作による血管神経損傷の回避3)愛護的操作による高血圧クリーゼの予防などがあげられる.腹腔鏡の拡大視効果と水平方向の視野により低侵襲かつ安全に手術を行うことが可能と考えられる.

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© 2011 日本臨床外科学会
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