日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸穿孔性腹膜炎後に発症した真菌性脊椎炎の1例
古西 英央黒田 徹川村 雅彦田中 知行吉田 和彦矢永 勝彦
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2718-2722

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抄録

症例は71歳,女性.直腸穿孔性腹膜炎に対し緊急腹腔ドレナージ術を行った.術後5日に発熱を認め,血液培養および中心静脈栄養カテーテル先端培養でCandida tropicalisを検出し,Fosfluconazoleで加療した.その後,穿孔原因である直腸癌に対して低位前方切除術を施行し合併症なく退院した.術後74日目に発熱を主訴に来院.β-Dグルカンは941pg/mlと上昇認めるも感染巣の同定はできず,経験的治療による抗真菌療法を開始した.増悪する腰痛に対し行った腰椎MRIで第2/3腰椎の椎体融解像を認めたため,真菌性脊椎炎と診断した.コルセットによる支持療法とLiposomal amphotericin B,Fluconazoleで治療した.腰痛は改善しβ-Dグルカンも陰性化した.直腸穿孔性腹膜炎から深在性真菌症を引き起こし,2カ月後に真菌性脊椎炎を発症した稀な1例を経験したので報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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