2011 年 72 巻 11 号 p. 2806-2812
症例48歳閉経前女性.1995年9月に左乳房に腫瘤を自覚し1996年5月受診.左乳房AB領域に4.8×4.0cm,弾性硬,表面不正な腫瘤を触知.USでは境界不明瞭,内部不均一.MMGで境界微細鋸歯状,一部不明瞭な腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性.左乳癌T2N0M0 StageIIAの診断にて1996年6月に胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織診断は乳腺紡錘細胞癌,t;35mm,n1(+)(1/18),ly1,v0,ER-,PgR-,核グレード3,免疫組織染色ではCytokeratin,Vimentinが共に陽性.術後FEC療法を6サイクル施行した.1997年7月の胸部CTにて,左肺S3に径2.5cm,S9に径2cmの転移を疑う結節状陰影を認めた.左肺以外に病変無く当時の化学療法に抵抗していると判断し,診断および治療を目的として肺部分切除術を施行.病理組織診断は乳腺紡錘細胞癌の肺転移であった.術後ドキシフルリジン800mgを3年間服用.定期的に経過観察を行っているが肺部分切除術施行13年後の2010年6月施行のPET/CT検査では再発,転移の徴候は見られず経過は良好である.