日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭温存十二指腸切除術を行った広範な十二指腸腺腫の1例
飯塚 一郎遠藤 大昌青柳 信嘉
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2011 年 72 巻 11 号 p. 2852-2856

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抄録

症例は63歳,男性.十二指腸潰瘍による上腹部痛のため受けた上部消化管内視鏡検査で,十二指腸の球部から下行脚のVater乳頭の2cm口側に至る平坦な広範全周性の絨毛状腫瘍が発見され,生検で腺菅絨毛腺腫と診断された.
本例では浸潤癌の併存を疑わせる所見はなく,病変の拡がりにあわせ,Vater乳頭部直上までの十二指腸口側半を切除する膵頭温存十二指腸切除(永井Ia)を実施した.切除標本で病変は9.3×5.6cm大の非常に広範な腺管絨毛腺腫で癌の合併は見られなかった.
十二指腸の腺腫としてまれにみる広範病変であったことと,本邦で膵頭温存十二指腸切除によるこのような病変の切除例の報告が見られないことから1例報告した.

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