日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
急激な経過を辿った胆嚢癌肉腫の1例
長崎 和仁山藤 和夫竹島 薫朝見 淳規窪地 淳赤塚 誠哉
著者情報
キーワード: 胆嚢癌肉腫
ジャーナル フリー

2011 年 72 巻 11 号 p. 2904-2908

詳細
抄録

患者は70歳,男性.下血を主訴に当院を受診.下部内視鏡検査にて結腸肝彎曲部に巨大な隆起性腫瘍を認め,腹部造影CT検査では胆嚢から横行結腸に跨るように約12cm大の腫瘤性病変を認めた.精査中も腫瘍は急速に増大し右季肋部に突出するようになった.結腸浸潤を伴う胆嚢癌の疑診断で手術を施行した.拡大胆嚢摘出術と右半結腸切除術を施行した.腫瘍は胆嚢内腔に充満しており,結腸内腔へ突出するように分葉状に発育していた.病理組織学的検査にて,真の胆嚢癌肉腫と診断された.術後23日目に退院したが,程なく局所再発をきたし,術後56日目に永眠した.胆嚢癌肉腫は本邦で48例が報告されたにすぎない稀な疾患であり,その臨床的および病理学的特徴につき,若干の文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2011 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top