2011 年 72 巻 11 号 p. 2931-2935
症例は48歳,男性.腎不全にて通院中,偶然膵尾部に27mm大の嚢胞性病変を指摘された.腹部CT検査では膵尾部に三日月状の充実成分を有する単房性の嚢胞を認め,内部に隆起性病変は認めなかった.MRCP検査で膵管と嚢胞に交通を認めなかった.2年後に施行した腹部CT検査で38mm大に増大傾向を示し悪性疾患を否定し得なかったため,腹腔鏡補助下に膵尾部・脾合併切除術を施行した.病理検査で膵内副脾に発生したepidermoid cystと診断された.膵尾部嚢胞性疾患において,本症はまれで診断には苦慮するが,鑑別診断として常に念頭に置くべきであると考えられた.