日本臨床外科学会雑誌
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症例
幽門側胃切除後に生じた脾腫瘍に対し脾部分切除を施行した1例
伊藤 貴洋河埜 道夫近藤 昭信田中 穣長沼 達史伊佐地 秀司
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2011 年 72 巻 11 号 p. 2936-2940

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抄録

幽門側胃切除後に生じた脾腫瘍に対し脾部分切除を施行した1例を経験したので報告する.症例は74歳女性,2006年胃癌にて腹腔鏡補助下幽門側胃切除術,D1+β郭清を施行,病理結果は低分化管状腺癌pTsm N1 M0 stage Ibであった.2008年CTにて脾上極に5mm大のLow density areaを認め経過観察していたが2010年になり13mmから22mmと急速に増大傾向を示した.腹部USでは辺縁明瞭なhyperechoicな腫瘤であった.MRIではT1強調画像にて低信号,T2強調画像にて高信号の辺縁明瞭な腫瘤であった.FDG-PETは同部を含め全身に異常集積は認めなかった.画像上は血管腫が疑われたが,急速な増大傾向を認め,悪性の可能性も否定できず手術適応と判断した.術前のCT Angiographyでは後胃動脈ははっきり同定できず,脾摘出を施行すると,残胃壊死になる可能性が考えられ,脾部分切除を施行した.InLine®にて切離線を前凝固したのち脾実質の切離を施行した.病理組織所見に悪性所見はなく,脾血管腫と診断した.

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