日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸内視鏡を契機に発症した子宮広間膜ヘルニアの1例
池谷 哲郎井上 透山本 篤山下 好人池原 照幸西口 幸雄
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2011 年 72 巻 11 号 p. 2946-2950

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抄録

症例は58歳,女性.他院にて上行結腸のポリープに対し,大腸内視鏡下ポリープ切除術を施行された.当日夕より腹痛と嘔吐を認めた.間欠的な腹痛の増悪を認めるため,翌日朝に当院救急外来を受診した.来院時の腹部CT検査では明らかなイレウス像を認めなかったが,嘔気と腹痛が持続していたため,経過観察目的にて入院となった.同日夕に腹痛の増悪を認めたため,入院時CT検査より10時間後に腹部CT検査を再度施行した.骨盤内に小腸のループ形成を認め,腹水の貯留も認めたため,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断にて同日緊急手術を施行した.左子宮広間膜の異常裂孔に小腸が迷入し,終末回腸近傍の小腸が嵌頓しており,虚血性変化をきたしていた.子宮広間膜裂孔を開放し,回盲部切除を行った.大腸内視鏡を契機として発症したと考えられるまれな子宮広間膜ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を交えて報告する.

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