日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腫瘍出血に対して照射ならびにバイパス手術が有効であった大腿骨骨肉腫十二指腸転移の1例
三浦 宏平鈴木 聡二瓶 幸栄大滝 雅博池田 義之三科 武
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 72 巻 11 号 p. 2978-2982

詳細
抄録

骨肉腫の消化管への転移は稀でありさらに十二指腸への転移は極めて稀である.今回われわれは出血および十二指腸への通過障害を呈した転移性十二指腸腫瘍に対し,放射線療法および胃空腸吻合術(バイパス)を施行し症状の改善を得た1例を経験したので報告する.症例は36歳男性.大腿骨骨肉腫に対し術前化学療法を施行後に広範切除を施行し,その後肺転移巣に対し肺部分切除および放射線療法を行った.手術から6年後に6cm大の出血性転移性十二指腸腫瘍が判明し,高度の貧血と腫瘍増大による狭窄症状を呈した.出血コントロールおよび腫瘍縮小効果を期待して転移巣への計30Gyの照射ならびに胃空腸バイパス術を施行した結果,出血が制御され経口摂取も可能となったばかりかCT上45%の腫瘍縮小効果を認めた.稀有な症例ではあるが,患者のQOLを向上させるための緩和ケアを含めた集学的治療の重要性を認識できた.

著者関連情報
© 2011 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top