日本臨床外科学会雑誌
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症例
切除術を要した出血性小腸憩室の1例
石井 亘飯塚 亮二檜垣 聡柿原 直樹谷口 弘毅竹中 温
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2011 年 72 巻 12 号 p. 3080-3083

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抄録

症例は78歳,男性.前日朝より鮮血を含んだ血便を認め当院受診したが経過観察となった.翌日になり3回の下血を認め,意識消失も一回認めたため再度他院受診し,他院血液検査にてHb 8.1g/dlと低値であり当院救命救急センターに紹介搬入となった.入院後輸液管理にて保存加療していたが,再度下血,また血圧低下を認めた.腹部解離性動脈瘤を保存加療されている既往があり血管造影検査は困難であったため,緊急開腹手術を施行した.手術所見は,回腸末端の回腸憩室に出血点と同部位の腸間膜に出血の影響と考えられる間膜出血を認めたため,下血の原因となる出血点として回盲部切除を施行した.その他の腸管に血液の貯留等は認めなかった.術後は新たな消化管出血も認めず,経過良好にて退院となった.消化管出血の原因として小腸からの出血の頻度は少ない.今回,出血性小腸憩室に対して回盲部切除を施行した1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

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