日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性胆嚢炎を契機に発見された気腹を伴った腸管嚢腫様気腫症の1例
橋本 敏章古井 純一郎北島 正親井上 諭井上 悠介
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2011 年 72 巻 12 号 p. 3130-3134

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抄録

症例は76歳,男性.主訴は上腹部痛.既往歴:糖尿病でαグルコシダーゼ阻害剤内服中.現病歴:2011年1月初旬より上腹部痛が出現したため当院受診.血液検査でWBC 19,900/μl,CRP 28mg/dlと著明な炎症所見を認め,CTでは腹腔内気腹と小腸型の腸管嚢腫様気腫および急性胆嚢炎の所見を認めた.急性胆嚢炎で緊急手術(胆嚢摘出術)を施行した.気腹の原因となるような消化管穿孔部位は特定できなかったが,横行結腸壁外に散在性のgas bubble状気腫の付着を認めた.脆弱で容易に破裂するため,このgas bubbleが気腹の原因と考えられた.CT画像を再検討すると,横行結腸壁外に胞巣状透瞭像を認めていた.術後,αグルコシダーゼ阻害剤の内服中止で気腫は速やかに消失したため,自験例の発症に関与していると思われた.気腹の所見を認めた場合,腸管壁内外のガス像を見極める画像診断が重要であり,本症も念頭に置き診療にあたることが肝要である.

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