日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹会陰式直腸切断術後に発症した会陰ヘルニアの1例
井口 利仁宮本 章仁石井 龍宏佐伯 隆人藤澤 憲司松野 剛
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2011 年 72 巻 12 号 p. 3184-3189

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抄録

症例は62歳,男性.肛門管癌で腹会陰式直腸切断術を施行した.最終病期はpT2,pN0,H0,P0,M0,pTNM分類でII期であった.合併症なく経過し,術後19日目に退院した.術後2カ月経過時,会陰部が膨隆し,長時間歩行や座位が困難になったため腹部CTを撮影したところ,骨盤底部から会陰皮下に脱出する小腸を認め,続発性会陰ヘルニアと診断した.経腹式にDUALMESH®による骨盤底形成術を行った.経過は良好で術後1年経過現在,ヘルニアの再発は認めていない.続発性会陰ヘルニアは腹会陰式直腸切断術後などにみられるまれな合併症であり,本邦では会議録を含めて21例の報告を検索しえた.自験例を加えて本邦報告例を集計し,臨床的な特徴について若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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