日本臨床外科学会雑誌
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症例
経気管支肺生検後に腫瘍内膿瘍をきたした肺扁平上皮癌の2例
高橋 瑞奈長 靖本間 直健高橋 亮金井 基錫仙丸 直人
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キーワード: 経気管支肺生検, 肺癌, 膿瘍
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2011 年 72 巻 2 号 p. 317-322

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抄録

経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy以下TBLB)後,肺扁平上皮癌に膿瘍を形成した2症例に対し手術を施行した.症例1:73歳,男性.左肺S6の肺腫瘍に対しTBLB施行.2日後より咳嗽・発熱を認めた.抗生剤治療を開始するも改善せず,29日後に左下葉切除+ND1+上葉一部合併切除+壁側胸膜合併切除を施行した.術後,術側肺炎をきたしたものの軽快退院した.症例2:61歳,男性.右肺S9に対しTBLB施行.2日後より発熱を認めた.抗生剤加療するも改善せず,15日後に右下葉切除+ND2aを施行した.術後,両側肺炎をきたしレスピレーター管理となり,また遷延性air leakに対し再手術を施行するなど治療に難渋した.肺癌に対するTBLBの際は腫瘍内膿瘍形成の可能性を念頭に置き,発症した際は感染コントロールに主眼をおいた手術を考慮すべきと思われた.

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© 2011 日本臨床外科学会
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