2011 年 72 巻 2 号 p. 367-370
症例は54歳,男性.臍周囲痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部CTで十二指腸下行脚より連続し,膵頭側に突出する2cm大の低吸収域とその背側に後腹膜気腫を認めた.十二指腸憩室穿孔を疑い手術を施行した.Kocherの授動を行うと十二指腸下行脚~水平脚の背側に膿瘍を認めた.憩室は視触診上は不明であり,後腹膜ドレナージを行った.術後に施行した十二指腸造影では下行脚内側に1cm大の憩室が描出され,腹部CTの所見と一致し,十二指腸憩室穿孔と診断した.腹部CTにより術前診断が可能であった十二指腸下行脚の憩室穿孔の1手術例を経験したので報告する.