2011 年 72 巻 2 号 p. 399-403
症例は,76歳,男性.2009年2月の喉頭癌放射線治療後のフォローアップCTにて,腸間膜に造影効果の乏しい結節性病変を2カ所認め,小腸腫瘍が疑われた.ダブルバルーン小腸内視鏡,カプセル内視鏡にて回腸多発カルチノイドと診断された.2009年8月,術中内視鏡を併施し,小腸部分切除・リンパ節郭清術を施行した.切除小腸は60cmで,2~10mm大の粘膜下腫瘍の形態を示すカルチノイド腫瘍を15個,リンパ節転移を2個認めた.術後腸閉塞を生じるも保存的に加療し,退院した.退院後,14カ月経過した現在,再発所見はなく経過している.
小腸カルチノイドは多発する可能性があり,切除範囲を決めるにあたっては,術中内視鏡が有効であると考えられた.