日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
穿孔をきたした小腸T細胞性悪性リンパ腫の1例
庄子 渉高橋 道長内藤 広郎
著者情報
キーワード: T細胞性リンパ腫, 小腸, 穿孔
ジャーナル フリー

2011 年 72 巻 3 号 p. 710-715

詳細
抄録

症例は75歳,女性.腹痛主訴に当院受診.腹部CTでTreitz靱帯近傍の肛門側空腸に小児頭大腫瘤と腹腔内遊離ガスを認め,小腸腫瘍穿孔と診断し緊急手術施行.開腹時,空腸起始部の腫瘤前面に穿孔部があり,口側は肉眼的に十二指腸水平部,肛門側はTreitz靱帯より約30cmまで連続的に腫瘍が浸潤.腫瘍の完全切除は困難と判断し自動吻合器にてTreitz靱帯付近から約30cm肛門側で小腸部分切除術施行.次いで肛門側断端を挙上し十二指腸空腸側側吻合を施行.術後,遺残腫瘍は急速に増大,56PODに全身状態悪化し死亡退院した.切除腫瘍の免疫組織学的検査ではCD3(+),CD8(+),CD56(+)であり小腸原発T細胞性悪性リンパ腫(以下ITL)と診断.ITLは消化管穿孔を伴うと予後不良で,予後を改善させるには何らかの腹部症状のある段階でCT,PET,小腸透視等により小腸腫瘍を穿孔前に診断することが重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2011 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top