日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発性骨髄腫の治療中に無石胆嚢炎で発症した胆嚢アミロイドーシスの1例
近藤 昭宏橋本 希諸口 明人岡田 節雄香月 奈穂美
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2011 年 72 巻 3 号 p. 757-762

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抄録

多発性骨髄腫の治療中に無石胆嚢炎で発症した胆嚢アミロイドーシスの1例を経験したので報告する.症例は66歳,女性.前医で多発性骨髄腫,腎アミロイドーシスと診断され,治療目的に当院へ転院となった.化学療法施行中に右季肋部痛と発熱を認め,胆嚢炎として抗生剤投与,経皮的胆嚢ドレナージ等を施行した.しかし,再燃を繰り返すため開腹下に胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の病理組織診から胆嚢アミロイドーシスと診断された.術後より急速に腎不全が悪化,呼吸不全,心不全となり術後28日目に死亡退院となった.胆嚢アミロイドーシスの治療については多発性骨髄腫とアミロイドーシスの病状を考慮することが重要である.とくに,アミロイドーシスにより腎臓を初めとする臓器障害がある場合,胆嚢炎については保存的治療を行い多発性骨髄腫とアミロイドーシスの治療を優先すべきであると考えられた.

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