日本臨床外科学会雑誌
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症例
右側停留精巣に対する精巣摘除術の既往を有する成人右腹部セミノーマの1例
長谷川 智行袖山 治嗣町田 泰一草間 啓西尾 秋人中田 伸司
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2011 年 72 巻 4 号 p. 1033-1037

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抄録

症例は38歳,男性.既往歴として生後まもなくHirschsprung病にて二期的手術を受けていた.小学生時には右停留精巣にて右精巣摘除術を受けたと説明されていた.入院約1カ月前より下腹部痛を自覚.近医を受診し,下腹部腫瘤を指摘され当院消化器科紹介受診した.精査にてβ-HCG高値,3D-CT-angiograpyで腫瘍の栄養血管が右精巣動脈である可能性が示唆され,腹部右精巣腫瘍も疑われたが,病歴より否定的と判断.オリジン不明の腹腔内腫瘍摘出目的に当科入院した.術中所見では腫瘍は後腹膜に覆われた巨大な精巣様の形態であり,肉眼的に精索,精巣上体,精巣導帯などが確認された.腫瘍摘出術を施行した.病理検査結果は単一型のセミノーマであった.術後12カ月目の現在,明らかな再発を認めていない.成人の腹部セミノーマ国内報告例は本症例を加えて10症例と少なく,停留精巣術後の報告は本症例のみであった.文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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