日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性自然気胸を併発した先天性心膜部分欠損症の1例
古堅 智則照屋 孝夫平安 恒男山城 聡國吉 幸男
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2011 年 72 巻 4 号 p. 876-879

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抄録

20歳,男性.既往歴に特記すべきことなし.平成20年5月,安静時に突然の左胸痛を認め,当院救急外来を受診した.胸部単純写真で左肺の軽度の虚脱と心嚢気腫を認め,胸部CTで左肺尖部のブラと心膜欠損部を左肺門に認めた.左自然気胸を合併した心膜欠損症の術前診断で胸腔鏡補助下に手術を施行した.心膜欠損孔は左肺門部前上方に確認され,径約4×3cm大であった.また左横隔神経が心膜欠損部の前方を走行していた.本症例に対してブラ切除術を行ったが,心膜欠損部に対しては特別な処置は施行しなかった.術後経過は良好であり,現在外来通院中である.
先天性心膜欠損症は稀な疾患であるが,自然気胸に心嚢,縦隔気腫を併発した場合は本疾患を念頭におく必要があると思われる.また治療に際して心ヘルニアの合併の可能性が高い場合には修復や補填などの処置も必要であるが,症状や欠損孔の程度によっては経過観察の選択肢もあると考える.

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