日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的治療により軽快した腸管気腫性嚢胞症の4例
山崎 祐樹廣瀬 淳史竹下 雅樹吉本 勝博松木 伸夫
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2011 年 72 巻 5 号 p. 1176-1180

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抄録

腸管気腫性嚢胞症(pneumatosis cystoides intestinalis;PCI)は腸管壁の粘膜下や漿膜下に多数の含気性小嚢胞を特徴とする比較的まれな疾患である.PCIは壊死を含めた腸管損傷に関与する徴候とされ,腸管壊死が疑われる場合は手術適応となる.今回われわれは2008年4月から2010年3月までの2年間で保存的治療によって軽快した4例のPCI症例を経験したので報告する.症例は57歳~90歳.男性1例,女性3例であった.全例に腸管気腫を認めたが,腹部所見は軽度で腹膜刺激症状は認めなかった.3例に腹腔内遊離ガスを認め,うち2例は腹水を伴っていた.2例に門脈ガス血症を認め,1例は後腹膜気腫も伴っていた.いずれの症例も保存的加療により軽快した.退院後1例に再発を認めたが,保存的加療により軽快した.PCIはそれだけでは手術適応とはならず,全身状態・腹部所見・各種検査所見を参考にして治療方針を決定するべきであると考えられた.

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