日本臨床外科学会雑誌
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症例
緊急手術を要した宿便性イレウスの1例
荒木 政人角田 順久飛永 修一國崎 真己岩崎 啓介石川 啓
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2011 年 72 巻 5 号 p. 1190-1194

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抄録

症例は43歳,女性.1型糖尿病にて治療中.便秘と腹痛を主訴に前医受診し,左下腹部に強い圧痛を認めたため消化管穿孔が疑われ当院紹介.腹部CTにてfree airは認めず,S状結腸を先端として糞便塊を大量に含んだ著明な結腸の拡張を認めた.内科的治療に奏効せず,大腸内視鏡施行し粘土状の糞便を洗浄や鉗子にて破砕を試みると,周囲の腸管が全周性に深い潰瘍を形成していた.また,腹満による呼吸苦が出現したため緊急手術を施行した.開腹すると拡張したS状結腸は一部白苔を伴い,肛門側は虚脱していた.内視鏡にて潰瘍部を確認し,その肛門側にて腸管を切離.約1.6kgの便塊を押し出し,潰瘍形成した腸管を切除後,ハルトマン手術とした.術後経過は良好で,術後4カ月目に再入院し人工肛門閉鎖術を施行した.糞便性イレウスは透析患者や糖尿病を有する患者に発症しやすいが,穿孔が無く手術に至る例は少ない.文献的考察とともに報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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