日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後の遺残胆管炎で再手術を要した膵胆管合流異常症の1例
中村 秀俊東野 健中野 芳明山本 守敏江島 栄門田 卓士今岡 真義
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2011 年 72 巻 5 号 p. 1237-1241

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抄録

膵胆管合流異常症術後の遺残胆管炎で再手術した1例を経験したので報告する.症例は36歳の男性で,14歳時に拡張型膵胆管合流異常症に対し,胆摘・総胆管切石・肝外胆管部分切除・胆管空腸吻合術を施行された.術後より腹痛を時々認めていたが,平成21年6月腹痛が長時間持続したため当院受診し,精査の結果,膵胆管合流異常症術後の膵内遺残胆管炎と診断し,平成21年12月手術を施行した.膵内遺残胆管を同定し,膵実質との剥離を進めて膵管合流部まで到り,その直前で結紮して膵内遺残胆管を全て摘出した.病理組織学的にはほぼ正常な胆管粘膜上皮の像であり,悪性所見は認めなかった.本疾患術後の膵内遺残胆管での発癌例が報告されており,大部分が予後不良である.従って,膵胆管合流異常症の手術にあたっては肝外胆管の完全切除が重要である.また,遺残胆管症例を認めた場合は再手術にて完全摘出を行うのが妥当であると思われた.

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